3ヶ月連続上演というムボウな企画がこの「最後の1フィート〜一篇の映画を巡る3つの物語〜」から始まります。この作品は、2005年にアトリエ公演で初演しました。当時からとても気に入っていて、早いとこ劇場でやりたいなあと目論んでいたのですが、いざ劇場でやろうとなった時に、何故かイメージが膨らみません。何故なのか。答えはすぐに見つかりました。
「この作品は広い劇場には向かないのだ」
勿論、劇場のサイズもいろいろいろいろあるのですが、この小さな空間の小さな物語に合った劇場にはなかなか出会えず、実は先に3ヶ月連続公演の企画だけがスタートしてしまいました。企画は動き出したのに劇場がない。困った困ったと言いながら目先の公演の「泥棒温泉」(今年1月に上演したオイルサーティーズの公演)の下見に下北沢「劇」小劇場にお伺いした時のこと。帰り際に劇場の方に、
「劇場が決まってないんですよ、企画は決まってるのに」
なんて愚痴ってみたところ、
「向かいに楽園って劇場がありますよ。なんなら今観てみますか」
と見学を薦めてくれたのです。たまたま空いていたのも幸運でした。
で、行ってみました。
そして思いました。ああ、すごくいい。この変な感じと小さな感じ。
大げさに言えば(でも本心)、「最後の1フィート専用劇場」とすら思えるほど、見た瞬間にこの演目がイケると確信しました。
こういう偶然的な出会いもいいものです。この作品はまさに、そういう偶然的なものが一篇の映画から生まれていく、そんな瞬間を描いた3つの物語です。
すごくいいタイミングで再演できたと思っています。
この作品をつくっていると何だか幸せな気分になってきます。
そんな幸せな空間が、この「楽園」という劇場で提供できたらなと思います。
3ヶ月連続上演の第一弾、ご期待ください。
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