>>>役者vs松本陽一 対談企画<<<
第3回 演劇系企画Funny*Flying*Fish・MiSAKi

では、お題は全く変わりまして。
稽古の進み具合はどうでしょうか

MiSAKi

稽古は・・・他のところや自分のところと比べて、まったりとしてるなと思ってるんです。だから、スピード感は全く感じないんですけど、でも確かにふと振り返ると、台詞自体は結構ふんわりと入っていて、密度が濃いのかなと思いますね。キツイ感じは全くないですし、気が付けば疲れているのかもしれないですけど、まるで辛い事がないので、受け入れやすいというか。

松本 普段はこんなんじゃないですから(笑)。普段は厳しく、1分1秒守れ!みたいなね。若い人には厳しくしたりとか、かなり自分自身がスピードアップして、そのスピードについて来い、っていうのが自分の基本スタイルなんです。元々テンポが速い、エネルギーのある作品作りが多いので。作風が違うっていうのもあると思うんですが、いらっしゃるメンバーが違うので、自然とこうなってますね。もちろん、自分の完成イメージに対して、時間がないってことになれば、もっとグッといきますし、ダラーっとしてれば引き締めるのは演出家かなとも思いますけど、単純にその必要がないので、しない(笑)。
MiSAKi 正直なところ、役作りとかも遅い方なので、私が足を引っ張ってるんじゃないかなと思ってるんです。自分のシスターという役に対して、まだボンヤリとしていて、役割とキャラ作りができるのが、もうちょっと後だったりするんですね、だから、足引っ張ってるな〜って。
松本

そんなことないですよ。
この間は「闇の中みたいな感じだから困ったな」って言ってるMiSAKiさんに困ったな(笑)って思ってましたけど。
だいたい、台本渡した翌週にガラっと良くなりますよね。台詞の艶が変わってきますね。
台詞を読んでる時と込めてる時の差が激しい(笑)

MiSAKi (爆笑)

普段はこういうやわらかい感じの役はない、ということをお聞きしましたが。

MiSAKi

ないですね。
なんにせよ、「ですわ」っていう言葉尻が(笑)。

松本

まあ、ないですよね。
現代人として、いないと思う(笑)。

MiSAKi そこにすごく苦戦していて。
松本 漫画の世界ですね。
MiSAKi

ただ、そういうのって、アニメの世界とかあるじゃないですか。
一時期声優をやってて。もう、それが嫌でやめたんですね(笑)。男の子役だとバッチリいけたんですが、女の子の役だと全然できなくてしょんぼりして、もう帰らせてくれ!と思ってたぐらいなので(笑)。
苦戦をしているところです。
チャキチャキした、パキパキした役が多いので。
苦しい・・・

松本さんはこのキャラクターを書くに当たって、意識している事はありますか?

松本

いや、僕は、こういう役が初めてっていうのは驚きでしたね。割と、こういう役が多いのかなと思ってて、「あ、またこの役ですか」って思われたら嫌だなあと思ってたぐらいで。初めてって聞いてびっくりしましたね。
もちろん、MiSAKiさんにはこんな役あんな役って、一つではないですけど、僕の中では的確に、ぴったりお似合いな役になるんじゃないかなというイメージで書きましたね。

MiSAKi 前に、丁寧な女性と言うところで言うと、「ハムレット」のオフィーリアをやったことがあるんですけど、もう、その時もイ・・・っあ、すいません、イヤで・・・(笑)

「も」って言いましたね、今(笑)。

松本

今回も嫌なんですか(笑)!??
シスターの役が、苦痛で苦痛でたまらないですか・・・

MiSAKi

いえいえいえいえ、先ほども言ったように、辛いとは思っていないので(笑)。
でも、これができるようになったら、ちょっと強くなれるかな、と思っているので、まだ闇の中ではありますけど、今、光を探している最中です。

では、完成はまだこれからですね?

MiSAKi

そうです・・・まだですうう。

松本さんから、シスターに、またはMiSAKiさんという役者さんに期待する事は何でしょうか。

松本 女性が最終的に二人になって。宇田川さんの演じる娼婦・キャットはすごくラフで自由人という感じで、(シスターは)唯一女性っぽい役で、それがまた苦痛なのかもしれないですけど(笑)、シスターがポンとしゃべると空気がフワっとなって、面白いですね。
MiSAKi なってますか!??
松本 セールスマンとかオーナーとかが殺伐としている空気の中でポーンと入る、そのズレが気持ちいいんですよね。その空気感っていうのは間違いなく行けると思うし、もう出始めてます。
MiSAKi

ほおおんとですかあああ???

松本

その声は、ほんとに癒されますよね。
あの、声紋分析の人に鑑定してもらったら、人間が一番心地いいところの何デシベルから何デシベルの間に入ってますよ、間違いなく。

MiSAKi でもはしゃぎ出すと、キャッキャキャッキャキャッキャキャッキャ言い始めますよ
松本 そうそう、確かに、強力な人達が多いですけど、まず共演者を殺すか殺さないかみたいなバトルから稽古が始まるんですけど。今日なんかは、カレー・蘭に、演出家として殺されましたけど(笑)。能龍さんとかが頑張って踏ん張って芝居続けようとしてても、余裕でゲラゲラ笑ってましたから(笑)。
MiSAKi (話の最中もずっと爆笑)
松本 共演者殺しにフォローいれず、みたいな
MiSAKi だっておもしろいんだも〜ん!
松本

最初のイメージよりも、結構変わってる人なんだな、と。
この間マジ引きしたんですよ、僕。
まだ稽古が始まったばっかりの頃で、「ナントカですわ」っていう台詞で引っかかって、「うわ〜!!!い〜え〜な〜い〜」って広い稽古場の後ろの方まで走っていって。こっちはポカーンって(笑)。何をやってるんだこの人は〜、って。おいおいMiSAKi待ちだよ、ってね(笑)。

MiSAKi (まだ爆笑中)

稽古場の雰囲気が柔らかくなるというか、おかしくなるというか。

松本

おかしくなります(笑)。

そっちを強調しますか(笑)。
それでは最後になりますが、お客様へメッセージをお願いします。

MiSAKi

あの、負けないように、消え入らないように、あの世界の中で生きて行きたいなと思っていますので、どうぞ、お目こぼしのないように、お願い申し上げます、と。平に平に。

では、楽しみにしています。ありがとうございました。

さっきまで爆笑していたかと思えば、芝居の話になると、スッと凛とした表情に変わる、静と動の魅力を持った女性、MiSAKiさん。子供たちに表現を教えているという部分でも、女性らしい母性を感じました。MiSAKiさん演じる「ですわ」のシスター、是非、お楽しみに!

さて、役者インタビューもいよいよ折り返し。次回はブラボーカンパニーの名物役者・蘭真人さんです。お楽しみに!!