思い出の
第10回公演「傷心館の幽霊」
銀座小劇場

6Cの、特に久間氏の作品は台本が出来上がるのは非常に遅い
しかも公演ごとに段々遅くなる…。「夢は本番当日に“完成したぞ!!”って台本を握り締めて劇場に飛び込んでくること」と言っていた…。確かに言った…。しかも笑顔で言った。
そのため、完成を待っていては稽古ができないので、出来ている部分から順に稽古をしていくのだ。
作品を書き始めた当初、久間氏は「喫茶店のマスターが幽霊になって出てきて色々事件を起こすんだよ」と言っていた。が、待てど暮らせど出てこない。
「いつ出てくるんですか?」の言葉にも笑顔でごまかす。
そしてついに「これが最終版ね」と渡された台本にもマスターは出てこなかった…。
「あれ?マスター出てきてないですけど…」
「え?出てきてるだろ?」
よく見ると最後の最後、一言だけマスターのセリフが…しかも(声)って…
大活躍するはずだったのに…ナレーションだけですか…


6Cでは公演期間中の食事を炊き出していた事がある。その最初がこの公演であった。
これまで小屋入り中の食費は劇団が負担していたが、この費用がなかなかバカにならない。そんな時、入団してきたのが加藤。彼女は主婦である。
彼らは閃いた。“主婦は料理上手”。…安易である。
「ねぇねぇ料理できる?」とニコニコと声を掛けられ、入団したての右も左も、ましてや劇団の思惑など知る由もない彼女は「できますけど?」と答えてしまった。そして、あれよあれよと言う間に20人分の“炊き出し”を担当するはめに陥る。しかも、出された条件が、20人分を5日間で1万円だった。そう。1人100円である。
今彼女が少しでも安い布を、木材を、衣装をと経費削減にのような意欲を燃やすのはこの辺がきっかけなのかもしれない…