3月21日(金)・3月22日(土)・3月23日(日)


熱い眼差しで見守る。
 私は稽古場でガンガン台詞を変えます。役者のアドリブから台本を作っていく劇団なんかもあるので、どのくらいガンガンなのか分かりませんが、割と気にせず変えるほうだと思います。それは同時に、脚本のいい加減さを露呈する瞬間でもあります。

 先日渡した台本に、「サブウェイリポートは市井の新聞だ」という台詞がありました。その台詞を言う浅田が「市井ってこれ何て読むんですか」と聞いてきた。おいおい、そんな言葉も知らないのかい、「庶民の」といった意味だよ、とここまでは良かった。あれ、何て読むんだ。そういえばこの「市井」って言葉、活字でしか見たことなく、言葉として使ったことがない。「いちい・・・じゃないかな」と言ってみた。すると間髪入れず名賀谷が「しせい」ですと即答。間髪入れず松本雄介が辞書を持って「しせいですね」、と念押し。あ、そうなんだ、「いちい」じゃないんだ・・・ごめんね、学がないのに知ったかぶりして。

「市井」について語る

小沢と松本陽一。
「いちい、ってそれモー娘ですよ」
「古っ、もういないよ」
「そういえばモー娘の市井って、カズさん(小沢)がハマってたね」
などと、男性陣最年長役者の秘密の過去が明るみとなりました。

 その台詞の後に「サブウェイリポートの姿勢を問う」といった台詞があり、「市井の新聞の姿勢を問う」って何じゃらほい、ということでめでたく削除。知らない言葉は慎重に使いましょう。
 
 これは悪い例。他には役者のアドリブなんかで、台詞をいじることもあります。面白い芝居をした時、「じゃあその芝居採用で、そうなると次の人の台詞を突っ込み風に変えようか」といった具合。とは言っても私の台本はあまりにノンストップなので、アドリブを入れる隙間はほとんどありません。それでも何とか目立ちたいと考える妹尾伸一。

「そう硬いこと言うなよ」と、同じ記者の女性に言う台詞を、薔薇の花を渡しながら言う感性に私はついていけません。いく気もないし。




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