前回号で劇団6番シードの10年間の歩みは理解頂けたと思う。今回は次回公演『ペーパーカンパニー ゴーストカンパニー』(略称は『ペパカン』)に出てくる出演者やキャラクターについて取材を試みた。
今回6C初舞台の新人に迫る!
今公演ペパカンの見所の一つとも言えよう、劇団6番シード初舞台の新人が多数出演することが決定した。では、今回出演する新人とはいかなる人物であるのだろうという疑問に答え、新人達についてリサーチする事となった。
―栗原 和滉―
今回2度目の舞台になります。前回コンクリートダイブでは死体役で立ったので台詞は有りませんが、今回は有ります。好きな言葉は気合です。
―土屋 兼久―
芝居を始めて半年の新人の私。初舞台と言えど東京芸術劇場という大きなホールに立てる事幸せに思います。しかも名前も台詞の有る役まで頂き自分にとって好条件が揃い良い風を感じてます。この好条件の風に乗り6Cに土屋有りと印象付けるのが今の野望です。でも、まだまだ6Cの皆さんには迷惑掛けまくりです。
―石塚 輝美―
芝居を始めて間もない自分が東京芸術劇場と言う大きな舞台に立たせてもらう事になり、かなり戸惑いはありますがやる以上は堂々と舞台に立とうと思っています。
―出村 圭―
そう言えばつい最近まで”6Cファン”だったんだよなぁ私。”そう考えると不思議な気分。憧れの劇団の舞台で憧れの役者さん達と一緒にお芝居が出来る。夢見たいなお話。ペパカンを見てくれた誰かが、初めて6Cの舞台を見たいつかの私みたいな気持ちになってくれたらどんなに幸せ。
彼らの今公演での活躍が楽しみでならない。
整理部?校閲??新聞社の謎に迫る!
今回の舞台は新聞社と言う事だが、毎日新聞に目を通している人や目は通すがテレビ欄だけと言う人も数多くいるだろう。しかし、実際の新聞社の業務内容・名称まで知っているという人は中々いない。そこで『ぺぱかん』の稽古を見学しているときに台詞の中にでてきた業界専門用語を表にまとめてみた。
部署・名称 |
業務・機能 |
大組台 |
新聞のレイアウト、つまり記事をどのページに載せるか等の作業をする台。出来上がった記事や写真をパズルのように並べてレイアウトのバランスを見る。実際のレイアウト作業は全てパソコンで行われるがPC画面に一括表示が難しいのでこういうアナログ的手法を取る新聞社もある。全てPC上で行う新聞社もある。 |
デスク |
その部署のチーフ的意味合い。一般紙では各部(社会面・政治面など)にデスクがいて記事掲載の決定権などを持っている。整理部デスクとなるとすべての紙面のレイアウトや記事掲載の決定権を持つといってもいい。 |
整理部 |
紙面をレイアウトする部署。見出しなどをつけるのもここ。
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校閲 |
紙面の誤植、記載ミスなどをチェックする部署。普通、校閲部という部署があって何人かで担当しているがサブウェイリポートでは(斎藤恵演じる)児玉君江が一人でやっている。 |
B版 |
通常、新聞は配達地域への輸送の関係で早めに締め切って印刷に回さないといけない場所(遠い地域)と、深夜を回ってから印刷に回しても間にあう場所がある。その都合で一日に何番か刷ることになっている。
一番最初に刷られるのが、A版(初版)、次がB版(二版)、そしてC版(最終版)となる。この呼び方は日本ではスポーツ新聞などで使われ、一般誌は11版から始まって14版まで。締め切りの遅い版には、さらに最新ニュースを載せる。つまり配達地域によっては同じ日の新聞でも紙面の内容が変わる。自分の地域の新聞と、別(遠方)の地域の新聞を見比べてみるのも興味深いだろう。 |
寄せ |
最終的にレイアウトのガタガタやズレを直す作業。 |
毎日発行されている新聞。あれだけの情報量を一晩で創り上げるのは至難の技である。ごく当り前のように目をしていたが、こんなにも様々な工程を経て自分の手元に届いている事を思うと、隅々まで読む価値はありそうだ。
「ペーパーカンパニー ゴーストカンパニー」にでてくる”サブウェイリポート”一体どんな新聞で、どんなメンバーによって作られているのか、4月の公演が楽しみである。
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その4 『オザワメモ』
芝居作りをする時、役作りをする時、悩んだ時、絶対に欠かすことのできない台本。ダメ出しともなると、役者達は台本とにらめっこしながら演出家のダメ出しを聞いている。その中で、そのダメを一心不乱にメモに取る、小沢和之。彼の台本に書かれているメモはメンバーの間で「小沢メモ」と呼ばれているらしい。彼の台本を覗かせてもらうことにした。
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これが噂の・・・ |
台本の扱い方にも役者それぞれに性格が出るらしい。自分の台詞にマーカーで印をつけている人、演出家の言葉をマジックで大きくメモしている人、何も書いていない人・・・しかし小沢氏の台本はそのどれでもない。黒いボールペンでびっしりとダメ出しされた内容が書かれているのだ。空いたスペースが無くなるほどメモを書いているため、肝心の台詞が見えなくなっていると言う噂も流れるほどの細かさ。「いやあ、言われたことはその場できちんと書かないと、覚えられないんだよね」と小沢氏は笑いながら言うが、この「小沢メモ」には、彼の芝居に対する誠実さが現れているのだろう。メモなど何も取らないメンバーの代表といえば?との質問に、誰もが口をそろえて挙げたのは妹尾伸一。妹尾氏にもインタビューを試みてみた。「わしゃあ書かんでも覚えるんよ。でも松本さんには『小沢メモを見習え』っていっつも言われるわ。わしも書くようにしてみようかな」・・・本当に人それぞれである。
メモを取るにしろ取らないにしろ、こういう小さな積み重ねがいい芝居作りにつながっていくのだろう。小沢氏のメモがその威力を発揮する本番が楽しみである。
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