>>>役者vs松本陽一 対談企画<<< |
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第5回 天然工房・松田 信行 |
対談企画も残り2回、本日は天然工房の看板役者・松田さんにご登場いただきました
よろしくお願いします。
3日まで天然公房さんの公演があったんですよね?お疲れ様でした。
少し遅れての合流となりましたが、合流から1週間ですね。稽古の雰囲気はいかがですか。
松田 |
とにかく、緊張感があるなあという感じがしますねえ。それぞれの劇団から集まってきていて、僕ら(天然工房)なんかは凄くグダグダなんですよ。だから、緊張感あるなあ、って感じます。
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松本 |
え、グダグダなんですか!? |
松田 |
ええ、グダグダなんです(笑)。主宰が結構そういう人なんで。
あんまり怒鳴ることもないし。
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じゃあ、もう全然雰囲気が違うという感じですか。
松田 |
そうですね。でも、僕はこういうところで一度やってみたかったんです。
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松本 |
まだ1週間ですか。凄い長く一緒にやってる気になってますよ。 |
では、まずは、出会いからお聞きしたいんですが。
松本 |
うちの小沢と妹尾が以前、「一郎ラーメン」という天然公房さんの公演にゲスト出演させていただいたのが最初のご縁ですね。その時は、僕も全然関わってなかったんですが、その後、演出家の森角さんが僕のお芝居を見に来てくださったりして、若干交流が出てきたあたりで、僕がお芝居を見に行ったときに、一人えらいヌル〜い方がいるなあ、と思いまして。でも多分、メイン張ってらっしゃる方なんだろうなあって。それで、HPのメールコーナーから(笑)、突撃アポをしまして、お会いしてお話させてもらったんです。
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松田 |
ホントに突然「こんなメールが来たよ」なんて森角から言われまして、そのときは凄い嬉しかったですね。 |
松本 |
そうなんですか。 |
松田 |
ホント嬉しかったです。
「ああ〜、オレに!?オレでいいの!?」って(笑)。
でも、僕的にいえば、(僕を)分かってくださった方なんだなあ、と。松本さんがご覧になった時に僕がやってた役は、周りの人から「素でしょ」とか「もっと演技しろ」なんてダメ出し受けたぐらいで、「いや、違うんだよ、これ大変なんだよ」って言ってもみんな聞いてくれなくて(笑)。でも、(オファーを受けて)これでやっと報われた〜と思いましたね。
だから、是非これはやってみたいんだけどいいかな、って演出家に聞いたら、いいんじゃないのって。
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松田さんは6番シードのお芝居はご覧になったことはあるんですか?
印象はいかがでしたか?
松田 |
いやあ、もう、スピーディーでパワフルで、舞台セットも凄いし、これにオレ入っていいの!?(笑)って思いましたよ、正直。でも、僕の芝居を観て誘ってくださったんで、僕なりのスタンスでもいいのかなあと。
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松本さんは、松田さんのどこに一番惹かれたんでしょうか。
松本 |
異質だったんですよね。天然工房さん自体が、分かりやすくいうとナチュラルなお芝居を追及されてて、その中でもとびきり何もやってない人だって(笑)。こりゃ凄いな、と思ったんですよ。あんまり出会ったことのない役者さんだったので。だから僕は逆に、オファーするのに躊躇しましたよ。出てくれないんじゃないかなって。役者紹介の一番上に載ってますし(笑)。でも、「いったれ!」って。
僕が見たのは、旅館の客のおじさんっていう役だったんですけど、ちょっとだけ出てきて面白いことして帰っていく、っていう感じで。その感じがね、良かったんです。
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松田 |
本当に、出番的にはちょこっとだったんですよ。
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松本 |
それで最後にネタで、スリッパを入れ替える、みたいなことやってて。それを何回かやるんですよ。で最初はウケてたんですけど、3回目ぐらいにウケなかったんですよね。そしたら「ウケねーや」みたいな顔して苦笑いしてハケてったんですよ(笑)。これが最後の出番だったんだろうなあ、っていうのが良く分かって(笑)、あの苦笑いが決め手かもしれないですね。 |
では、オファーした時はお互い全く面識もなく?
初めましての時の印象はどうでしたか?
松田 |
コルコルを見たときに、もっと精悍な方かなと思ってたんですよ。小劇場っぽくて目がちょっと釣りあがってるみたいな。でも全然、温厚そうな方で(笑)。
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松本 |
僕も一緒ですよ。もっとこわ〜い感じかな、もっと重厚な感じかなと思ったら、案外に普通っぽいというか。お互い同じ様な印象だったんですね(笑)。優しそうな人だ!って。
そうそう、お会いした時に、お酒が飲めないっておっしゃってて。それで、「公演の打ち上げをファミレスでやりたいんだ」って言ってたんですよ。「チョコレートパフェで乾杯がしたいんだ!」って(笑)。
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松田 |
今でもそれは夢ですね。
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松本 |
その風貌でスイーツ大好きって(笑)。
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松田 |
もしね、もしファミレスで打ち上げやっとしましょうよ。すると、「今日打ち上げじゃん?どうよ、このメニューの最後のページ一個ずつ全部頼んじゃおっか」「いいじゃん、いいじゃんやっちゃおう」って。これがいいんですよ!!これやってみたい。
「すみません、このページ全部1個ずつ持ってきてください」って(笑)。
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松本 |
デパ地下の話とかさせたら凄いですよ。 |
松田 |
(照れ笑い) |
松本 |
前に、役者さん何人か集めてパーティーやったんですよ。松田さんも、オファーした3日後ぐらいで来て下さって。みんな知らない者同士だったんですよ。それなのにいきなりスイーツの話になって。「あそこの地下のナントカって店のプリンがどうとか」って(笑)。この風貌で(笑)。
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一緒にいる時間が増えれば増えるほどいい人だなあって思いますね。
松田 |
どうなんでしょうね。僕は自分では何もしないやつだと思ってるんですよ。AB型だし。でも、だから悪い印象にならないようにしようとはしてますね。ポット何か一言言うんでも、空気が和むように、とか。
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ちなみに、劇団にいらっしゃる時は、どういうポジションなんですか?
松田 |
劇団が出来た当初は、僕しか役者をやったことがなくて。7、8人いたんですけど、それを一手に引き受けて。森角は演出に徹してもらって。で、ホントに素人さんを、どうやって舞台に上げられるまでにしようかと。僕自身もそんなにカツゼツとか発声とか良くないし、とにかくそういうことは後回しにして、みんなが一人ずつ引き立つように、コイツの個性はこうで、コイツはどこがおもしろくて、って一つ一つ見極めて、それが出せるようにしていったというか。だから、僕の役割は、僕らはリーディングアクターって言ってるんですけど、役者のリーダーなんです。
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今でも?
松田 |
今は、僕がそんなに言わなくても大丈夫になりましたけど。
最初のうちは、森角の演出に対しても、「こういう感じが欲しい」って言われたら、彼らはそうする術を知らないので、「じゃあ、ここからここまで動いて、ここで台詞を言って、3歩下がれ。そうすればそういう空気になるから」って指導したりしてました。
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松本 |
かなり演出に近いですね。 |
松田 |
じゃあやってみて、ってうやらせて、それを森角にどうよ、って見せる |
松本 |
二人三脚ですね。 |
松田 |
歩数まで決めてましたからね、昔は。 |
松本 |
でも、僕らも昔はそうでしたよ。若い役者に「この台詞のここで右を向いて、その後下を向いて、その後歩いて」って。役者は最初ワケも分からずそれをやって、でも10回ぐらいやると、ようやく意味が分かり始めて、最後に気持ちが付いてきて。ああ、形から気持ちって作れるんだなあ、ってそんなこと僕も勉強しましたね。 |
普段はどんな役を演じる事が多いんですか?
松田 |
今回のようなユルい役って言うのは、松本さんが観に来て下さった2回くらい前の芝居からなんですよ。それまでは、ほんっとにもう動き回ってほとんど出ずっぱりで舞台を回す役っていうのが多かったです。
十何回(の公演)は、ずっとそれでした。
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松本 |
じゃあ、僕が見たのは新しい流れだったんですね |
松田 |
ずっとやりたかったんですよ。伊藤四郎さんのような「この人ホントに芝居してるのか」っていう芝居をやりたくて、でもオレじゃちょっと年齢足りないかなって思ってたんですけど、前々回の公演で、それがちょっとできそうだなって自分で感じて、演出と相談して、チャレンジしたんです。 |
松本 |
是非それも観てみたいですね。
松田さんが超声を張ってる感じ?
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松田 |
そうですね、声張ってましたね。怒鳴り系が多くて |
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