松本 |
合流された日の最初の立ち稽古で、なんてことはないと思うんですけど、客席に背を向けて、舞台の後ろに向かって歩きながらしゃべってらっしゃったんです。それがね、凄く普通に絵になったんですよね。それまでは、松田さんが来るまで、とりあえず立ち位置を代役である程度作っておこうと思って、役者をいろいろ動かしたんですよ。でもなかなか絵にならなくて。上手行って下手行って、って結構時間かけてやったんですね。実は松田さんの出るシーンって、松田さんが来る前にかなり稽古したんです(笑)。
それで松田さんがいらっしゃって、後ろ向いて歩きながらしゃべってらっしゃる時に絵になってて。つまり、簡単に言えば、代役の時は右か左かっていう片面しか動きがなかったんですね。でも松田さんが来て、左右と前後で、両面になったんですよ。そしたら、動きが半分で良くなって。半分以下かも。だから圧倒的に絵が動かなくなったんです。でもそれで全然問題なかったんですね。その片面・両面の理屈を最初に凄いなあと感じましたね。
でも何より、周りの役者のテンションが変わりましたね(笑)。
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松田 |
僕もね、「忍者」っていうあだ名をつけていただきましてね。僕はね、台詞を言わないときの方が楽しいんですよ。オレ、演じてるなって思うんです。それって、台詞を聞くということがアクションで、台詞をしゃべるっていうのはある意味リアクションだと思ってるんですよ。
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松本 |
逆の発想ですね。 |
松田 |
自分がしゃべってる時って、逆に芝居できないんですよ。ある一言を聞いたときの、その人の内面とか、「この一言を言われたらこの人なんて思うんだろう」っていう方を追求したいと言うか。この台本の中でも「えっ」とか「あっ」っていう台詞が多いって松本さんが良くおっしゃってますけど、それはリアクションですよね、相手の台詞を聞いて、自分がどう感じてるかを出すという部分で。僕も、そういう台詞が多いんですけど、それ以外の部分でもどう反応していくかっていうのは、よく考えてます。 |
松本 |
稽古が始まる前だと思うんですけどね、松田さんにバーテンの役をやってもらおうって思ったときに、部屋の端っこでみんなを見てるような、で、ここぞっていう時にしゃべりだすような、そんなイメージがあって、最初はもっとしゃべらないイメージだったかもしれないですね。書き始めたら、ちょっと多くなりましたけど。 |
松田 |
脚本最初にもらった時に、僕もそういうイメージがありましたね。 |