小沢和之伝説をひとつ。最近声の仕事も回ってくるようになった小沢さんが、とあるアニメの配役をもらいアフレコ現場へ。声優業界では下っ端と言ってもいい彼でしたが、どうしても自分のシーンのパクが余ってしまい早上がりしてしまいました(アニメの口が動いているのに台詞を言い終わってしまい、画が余ることをこう呼ぶ)。何度テイクを重ねても余ってしまう小沢。ついに音響監督さんは新人声優小沢和之に向かって「じゃあ画を直しますからオッケーです」と妥協。新人ではそういうことはあり得ないそうで、何故か破格の待遇を受けていると周囲の同じ新人声優は愚痴ったそうです。
今作「ボイスアクター」も、小沢が初めてアフレコ現場に行ったエピソードがあまりに面白かったので、そのまま脚本にしてしまいました(勿論、物語として再構築してますのでそのままではないですが)。
テレビでたまにアフレコ風景のドキュメンタリーなんかが流れると無茶苦茶面白いですよね。あの声の人がこんな人だったの?とか、向かい合って会話してないんだ!(当然皆さんマイクに向かってます)とか。でもそんなのは序の口。緻密な技術が必要とされるアフレコ現場は、驚きと感嘆の連続です。今回はまさにそんな感じの、「ドキュメンタリーシチュエーションコメディ」を目指したいと思います。
いやホントに、それだけで面白いですから、アフレコ。
3ヶ月連続上演のファイナルは、ひたすらスカっと笑ってください。
松本陽一コメント バックナンバー
「最後の1フィート 〜一篇の映画を巡る3つの物語〜」
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