.
関ヶ原開戦前夜―。
雨と霧に包まれた合戦場の真ん中で、寒さに震える足軽百姓達がいた。
東軍西軍入り乱れ、裏切り謀略相次ぐ中で、百姓たちは自分の主の姿も
敵味方の区別もつかなくなっていた。
百姓たちの将の名は大谷吉継。義理厚く勇猛なる将とは裏腹に、
情けない男達は一致団結して合戦場から逃げ出すことを決める。
そこへ現われたのは女。男勝りに戦場を駆け巡る母親や妻たち。
女達の力に助けられ、明日始まるであろう戦に自信を取り戻す男達。
そんな夜更け、ひとりの侍が陣営に逃げ込んでくる。
侍の旗印は、西軍小早川秀秋。その侍が叫んだ。
「明日裏切りがあり、我ら西軍は全滅する」
これは関ヶ原の合戦場を舞い踊った、名も無き足軽百姓達の物語である