::::: 2.書くこと・・・
【ワタ】
脚本を書かれる方っていうのはどういうふうにつなげていくのか分からないんですけど、どうなさってるんですか?
【マツ】
最初にすごい漠然としたイメージが出来るんですね。
【ワタ】
おおまかなプロットって事ですか?
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テンリロインディアン
2003年12月上演
脚本・演出:松本陽一 |
【マツ】
そうです、すごいおおまかな。4コマまんがみたいなやつ。
絵が浮かぶ感じですかね。
オープニングのシーンがあってなんか真ん中にいてみんながこんな感じで慌ててるとか
ラストはこんな感じで感動するみたいな。
おおまかができて、じゃあこんな感じの人たちがいて…とか、
中を一つずつ埋めていく感じですかね。
【ワタ】
テンリロで言うと捕まって、なんかあって、最後に釈放みたいな。
そっからつめていくわけですか?
【マツ】
日本人が連れてこられる→みんなわいわいやる→釈放される→真犯人がいる。
そうするためにどうするのか、みたいな。
【ワタ】
二時間を繋ぐって全然イメージできなくて、
二時間分書いた事ないんですよ。
1分を何百回、みたいな。
【マツ】
書いててもそうでして、最初から二時間のイメージは脳みそのハードディスクにはないですね。
後ろの方まで詰めて考えられないので、そんなおおまかなことだけどっかにおいといて、
後は前からちょっとずつ書いた分から稽古始めちゃうんで、
(役者に)台本を渡したら、来週みんなが待ってるので切り離してくと、
あと1時間45分1時間30分みたいな、後何分みたいな。
そうするとあとは自分の脳の許容量でやれる…みたいな。
【ワタ】
あれ、最初何時間って決めてから書くんですか?
【マツ】
いや、違うんですよ。
【ワタ】
結果としてですか。
【マツ】
そうなんですよ、だから書いていくうちに、
あーやばい、2時間20分になっちゃう。ってのを毎回。
ここ削れ、あそこ削れみたいな。
【インタ】
脚本家としては結構時間は気にしながら書いてるんですか?
【マツ】
気にしますね、やっぱり多少の狂いはあるけど大体あってますね。
【インタ】
ワタナベさんは長さは意図して決めてます?
【ワタ】
僕長さは全然考えてないんですよ。
浮かんで何文字になったとか結果でしかないですね。
基本的に何文字でも書けるじゃないですか。
一行の時も有ればすごい長くなるときもある。
だから全然意識した事ないですね。
【マツ】
浮かぶっていうのはパソコンの前に向かって浮かぶんですか?
それとも日中に今日コレでいこうとか。
【ワタ】
日中ですね。仕事中に普通に急にくるんですよ、
あ、これだ、とか思うんですよ。
でもそれがかないと地獄ですね。帰ってからあ〜今日何書こうとか。
【マツ】
何もない状況でパソコンに向かったら、もうヤバイって、
【ワタ】
そういうとき有りますね。
たまに読者からいいメール来たりするんですよね。
いいときにいいメールが来てそれをいじったりとか、
【マツ】
その救いすらもない時はもう〜って感じですか?
【ワタ】
悶々としますね。
【インタ】
ないとき探したりします?
【ワタ】
しますね。ヤフー見てgooみてインフォシークみてライブドアみてMSNみて、
あーダメだーって。
【インタ】
何が一番情報源ですか?
【ワタ】
何かなぁ、急に来るんですよね。
電車の中吊りとか結構くるんですよね。
【マツ】
電車結構良いんですよね、電車と居酒屋が良いんですよ。
役者さんと話してて、こんな話にしよーよーとか。
【ワタ】
僕、逆に酔うとダメですね。
だから今日のこれからの更新がダメです。
【一同】
今日楽しみだなー
(笑)
【マツ】
この間見たら朝更新してあって、
でもそれもネタですよね?
【ワタ】
素直に「ごめんなさい酔いました」って書く事があって。
【インタ】
結構何回かみたことありますねぇ(笑)
(笑)
【ワタ】
休むのもワンパターンかなとか思うと素直に休めなくなっちゃうんですよ。
【インタ】
それも毎回工夫してますよね、酔って休みパターン。
同じ文は使ってない…みたいな。
それを7,8年続けてるわけでしょう??
【ワタ】
そうですね。サラリーマンより長いですね。
【マツ】
てことは…一年300回としても、2500は文章があるってことですか。
【インタ】
一回も休んだ事はないですか?
【ワタ】
前半の頃は3日に1回とか いつからかペースあがっちゃって、そっからは休んでないですね。
いつだったか本気で酔いつぶれて休んだときがあるんですよ。
品川で飲んでて帰れなくなっちゃって、 一泊一万五千円のスイートルームに泊まらされて(笑)
その時は休みました。
【インタ】
実家に帰るときも「代打日記」募集してつないでますよね。
そのネタ募集へのメールってどのくらい来るんですか?
【ワタ】
300くらいかなぁ。
(驚)
【インタ】
全部見て選考するんですよね??
【ワタ】
そうです。
【インタ】
あれ、一度挑戦してみたくて(笑)
考えるんだけど未だに送れないんですよ。
ちょっとねらいすぎかなーとか思っちゃって。
で、実際選ばれているのを見ると、やっぱおもしろいなーって思うんです。
でも読んでるとみんながワタナベ信者なんだなーってわかりますよね。
【ワタ】
ありがたい事ですよ。
【マツ】
日想読んでても一人ボケツッコミみたいな感じじゃないですか。
【ワタ】
あれは、良いボケが浮かんだら突っ込むみたいな感じなんですけど、
【マツ】
基本的に僕はツッコミ好きなんですけど、
ツッコミのひねりがうまいですよね。
行間とか文字の大きさとか、
いわゆる、ぺたっと書くと読み方によってテンポが変わるじゃないですか。
ちゃんとリズムが有るじゃないですか。
だからきちんとと落ちるじゃないですか。あれがすごいなって思って。
ずどーんて入ってすっと落ちる、みたいな。
【インタ】
あの文章のリズムとかテンポって、どういう…計算ですか?
【ワタ】
いや、感覚ですね。
句読点の打ち方なんかは未だに分からないんですよ。
小説家の人はどうやってるのかなって。
どうやって改行して良いとか、改行いくつしていいかとか分かんなくて。
その時の感覚でやってますね。
【インタ】
文章の幅は最初から決めてるんですか?
【ワタ】
そうですね、最初に決めて、ちょっと狭いかなと思ったらちょっと広げて…とか。
【インタ】
あれもちょうどいい感じですよね。
【マツ】
読んでる方にはワタナベさんが本当にしゃべってるような、
ちょうどいいリズムがあるんじゃないかな。
【ワタ】
結構話し言葉で書いてるんですよ。
だから小説とはちょっと違うかな。
【マツ】
「メールミーびっくりまーくたくさん」とか。
【インタ】
必死な具合が(笑)
(笑)
【ワタ】
脚本って基本的に話し言葉ですよね?
【マツ】
そうですね、あれは小説と違いますからね。
ほとんど99%セリフだけなんですよ。
若干「○○登場」とかト書きがあるくらいで。
小説よりは書きやすいですね。
【ワタ】
書きやすいですか。
【マツ】
小説はかなりの言葉のテクニックが必要なんじゃないですかね。
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お笑いだいすき! |
【ワタ】
小説だと情景描写が出来るじゃないですか。
「暑い日」だったら「暑い日」とか書いちゃえばいいわけですし。
でもそれを会話で表さなきゃいけないんですよね
【マツ】
そうですね、そういわれると確かに。
制限がありますね。
説明ぜりふは難しいので
「暑い日だなぁ」って言わせるといかにもですよね。
【ワタ】
ベタですよね。
【マツ】
例えば初めて来た人に「やぁ鈴木」って言うわけにもいかず、
いかに自然にお客さんに鈴木という名前を伝えるかということで、
すっごいいっぱいしゃべらせといて「ところで鈴木」みたいな感じにするとか。
こいつが鈴木なんだって教えるだけで2ページ使っちゃった、みたいな。
【ワタ】
漫才のコントとは違いますね。
漫才のコントはいきなりはいりますからね。
「俺はデカだ」
【インタ】
確かにそうだ!!!(【一同】笑)
自己紹介しちゃうんですよね。
【マツ】
そうそう、
「今日はお見合いの日だけど大丈夫かな。お父さんが厳しいって聞いたけど…」
みたいなね。コントだから許されるよね。
【ワタ】
5秒で来るんですよ。
【マツ】
3分しかないですからね、ネタ時間。 ネタ以外で時間かけてらんないですよね。
【インタ】
お笑い好きですか?
【ワタ】
大好きですよ。
ねじれてるかもしれませんけど。
細かすぎて伝わらないものまね選手権とか。
【一同】
あーーーーーー!!!
【ワタ】
ゆうえんちくじらが大好きなんですよ
(笑)
【ワタ】
あとは笑ってはいけないっていうダウンタウンとナイナイの笑わず嫌い王です。
【一同】
うわぁぁぁぁ!!!(更に盛り上がる)
:::::::::::::::しばらくお笑いネタで盛り上がる
【ワタ】
ああいう番組ってたぶん、アクターとプロデューサーがいるじゃないですか。
松本さんはプロデューサーだと思うんですけど、いろいろ校正するとか、
僕はどっちかっていうとアクターの立場で見てるんだと思うんですよ。
【マツ】
あぁ、なるほどなるほど。
【ワタ】
アクターって立場で書いてるのかなって。
【インタ】
松本さんはお客さん相手っていう対象がはっきりしてるけど
ワタナベさんの場合は不特定多数じゃないですか。
相手は定めてますか?
【ワタ】
定めてないですね。
誰かにターゲット絞って書けない。
まぁ絞れたら女子高生に絞って書きたいんですけど。
【インタ】
でた(笑)
【マツ】
僕も、ターゲットって意識するもんじゃないって思うんですよ。
最終的には自分が面白いっていう感覚しかないんですよ。
それがお客さんがつまんないんだったらしょうがないかって…
お客さんが何を面白いだろうってあんまり考えちゃダメって。
ワタナベさんも、自分はコレは…っていう感性で。
【ワタ】
年齢とか性別とかで区切れないですよね。
【インタ】
例えば、すごい年齢層の高い読者、サイトを見てる方っていらっしゃるんですか?
【ワタ】
メールで見たのは…五十何歳っていましたね。サーファーショップ経営。
下は中学生とかいますしね。
【インタ】
結構若い世代の方が多いですよね。
【マツ】
それは「メールミー」ってやったらくるんですか??
【ワタ】
いやいや、普段から来ますよ。(笑)
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